Cryptobiosis of Annatto60

アナトー・シキソのクリプトビオシス

「人」という呼称

「私たち」は互いに対する責任を負うが、「彼ら」に対する責任はない。「私たち」はもともと「彼ら」とは違うのだし、「彼ら」に全く借りはない。「彼ら」には「私たち」の縄張りに入ってきてもらいたくないし、「彼ら」の縄張りで何が起ころうが知ったことではない。「彼ら」はほとんど人間でさえない。スーダンのディンカ族の言語で「ディンカ」とは単に「人」を意味する。ディンカ族以外の人は、人ではないのだ。ディンカ族の不倶戴天の敵はヌエル族だが、ヌエル族の言葉でヌエル族という単語が意味するのは「もともとの人」である。極寒の氷の地であるアラスカとシベリアの北東部には、ユピック族が住んでいる。ユピック語でユピックとは「本物の人」という意味である。
(ユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」上:p242)


*ついでに付け足すなら、アイヌ人のアイヌもやっぱり「人」という意味。ブッシュマンで有名なコイサン族のコイサンもたしか「人」だ。