Cryptobiosis of Annatto60

アナトー・シキソのクリプトビオシス

真の利他主義者

真の利他主義者なら贈り物はしない。なぜなら、真の利他主義者は自分が贈り物をする動機は、善行によって虚栄心を満たそうとしているのか、あるいはお返しを期待しているかのどちらかであることに気づくからだ。そして、後者の場合、不親切にも、贈る相手に借りを作らせてしまうことになる。また、真の利他主義者なら、返礼をすることによって贈り主を侮辱するようなことはしない。そんなことをすれば、借りを返すことによって、あなた(元々の贈り主)の動機は利己的であることは分かっていますと、暗に示すようなものだからだ。だから、真の利他主義者同士は贈り物のやり取りを決して行わないし、贈り物をしようという気を起こさない者だけが正しい行いをできるのである。だが、果たしてこれでいいのか? どこかで何かがおかしくなってはいないか? パラドクスは脇にどけて、ここでは、贈り物を交換し合う人間の本能は非常に強く、贈り物が武器として使われるほどだということを言っておけば十分だろう。
(マット・リドレー『徳の起源』p170)